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用語集

あ行

アセスメント
アセスメントとは、対象者の情報を収集し、分析・評価することです。現実的には、在宅医療を始める前に患者や家族からアセスメントを実施しますが、本人の病状や病歴だけではなく、生活習慣やこれからの希望など幅広い情報を集めた上で在宅医療チームで支援していきます。
アルツハイマー症
ドイツの精神科医アルツハイマー博士が発見した認知症の種類。遺伝による家族性アルツハイマー病と大半を占めるアルツハイマー型認知症がある。症状は、進行する記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害があり、高度になると摂食や着替え、意思疎通などもできなくなり最終的には寝たきりになる。
圧迫骨折
圧迫骨折とは、縦一列に並んでいる脊椎の個々の骨のある部分が壊れることをいいます。高齢者における圧迫骨折の原因の大半は、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)によるもので、尻もちだけではなく、少し腰をひねっただけやくしゃみでも起こることがあります。
IVH(アイ・ブイ・エイチ)
IVH(アイブイエイチ)とは、高カロリーの輸液の意味の英語 Intravenous Hyperalimentaion の略です。中心静脈より行なう高カロリーの輸液のことです。医療機関以外の自宅や施設等で行なう場合は、在宅中心静脈栄養と呼びます。。中心静脈栄養は、消化管が安全に使えない状態が長く続く場合に用いられます。完全埋め込み型のカテーテルを使用し、全胸部に留置する場合が一般的です。
ICU(アイ・シー・ユー)
病院内にある集中治療室のことです。tICU(アイ・シー・ユー)は、英語の intensive care unitの略です。日本集中治療医学会では、内科系、外科系を問わず、呼吸・循環・代謝そのほかの重篤な急性機能不全の患者を収容し、強力かつ集中的に治療・看護を行い、その効果を期待する部門と定義されています。
医薬分業
医師・歯科医師が行う診療行為と薬剤師が行う調剤行為を分離し、それぞれの専門性を発揮させて医療の質を向上させることを目的とした制度。医療機関の医師等が処方箋を発行し、独立した薬局の薬剤師が調剤する。
医療ソーシャルワーカー
医療の場における福祉専門職。病院からの退院支援業務が中心となっており、在宅医療のコーディネイターとしての役割が期待されている。
医療保険とは?
医療保険とは、病気やケガの治療に掛かる経済的負担を軽減するための保険で、公的医療保険と民間医療保険に分けることができます。公的医療保険、いわゆる健康保険にはほとんどの人が加入しています。公的医療保険は、健康状態に関わらず加入できるのが特徴です。 保険料は、収入に応じて決まります。
医療保険の種類
だれもが保険で医者にかかれる公的な医療保険は、職業、地域、年齢により区分された複数の制度で成り立っており、全体として国民皆保険を実現しています。大別すると、職域保険(サラリーマンや公務員などの被用者や一部の業種の自営業者を対象とする健康保険)、地域保険(職員保険に属さない人のための国民保険)、後期高齢者医療制度(75歳以上の人)の3種類に分かれます。
医薬分業
医薬分業(いやくぶんぎょう)とは、患者の診察、薬剤の処方を医師または歯科医師が行い、医師・歯科医師の処方箋に基づいて、薬剤の調剤および投与を薬剤師が行うという形で、それぞれの役割を分けることをいいます。
医薬品
医薬品(いやくひん)は、法的には、医療用医薬品と、薬局・薬店で誰でも購入できる一般用医薬品とに大別されます。医療用医薬品には、医師が患者の病状に応じた薬を書いた「処方せん」が必要で、その「処方せん」に基づいて、薬剤師が調剤して患者に提供します。一般用医薬品には、医師の処方箋が不要です。薬局や薬店等で自由に購入できます。
医薬部外品
医薬部外品とは、体に対する作用がおだやかで、機械器具等でないもので、①吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止②あせも、ただれ等の防止③脱毛の防止、育毛又は除毛④人又は動物の保健のために、ねずみ・はえ・蚊・のみ等の駆除又は防止の目的のために使用するものと規定されています。具体的には、薬用化粧品、ヘアカラー、歯周病・虫歯予防の歯みがき、生理用ナプキンなどです。化粧品では、ありません。
インシュリン(インスリン)
インシュリンとは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンのことです。英語の   のことで、インスリンともいいます。インシュリンには血液中のブドウ糖(血糖)の濃度を調節する働きがあり、膵臓に障害が起こりインシュリンの分泌が低下すると、正常にブドウ糖の濃度(血糖値)を下げることができなくなり、糖尿病の危険性が高まります。
胃瘻(いろう)
胃瘻とは、胃と腹壁を結ぶ管(ろう孔)のこと。一般的には、外部からカテーテル(経管)を通して胃の中に直接、栄養や水分、医薬品を入れる行為を表したりする。胃瘻は、内視鏡を用いて比較的簡単に作成できる。患者が必要で十分な栄養や水分や医薬品を摂取し、患者の生命を維持しQOLを向上させる目的で造設するが、平穏死や尊厳死の観点も十分に考慮する必要がある。
医療用モルヒネ
モルヒネは、芥子(ケシ)の実から生産される麻薬、アヘンから抽出された有機化合部(アルカロイド)で、最強の鎮痛剤です。がんの痛みを緩和するために使われるのが医療用モルヒネです。がんによる激しい痛みを緩和することは、がん患者の生活の質を維持するため重要で、モルヒネと同様の作用を持つ鎮痛剤として、オキシコドン(商品名オキシコンチン)、フェンタニル、トラマドール、メサドンなど様々なものがあります。
インフォームド・コンセント
十分な説明を受けて同意する行為をインフォームド・コンセントという。医療における自己決定権のためにもっとも重要なことであり、個人情報の開示と本人の知る権利を保障した上で、自己の治療に関する選択権を行使できるようにする必要がある。
うつ病
精神障害の一種であり、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、疲れやすいなどが典型的な症状で、これらのうち2つ以上があてはまり、さらに、集中力と注意力の減退、自己評価と自信の低下、罪責感と無価値観、将来に対する希望のない悲観的な見方、自傷あるいは自殺の概念・行為、睡眠障害、食欲不振などが2つ以上2週間以上続くことが診断の目安となる。
エンド・オブ・ライフケア
死に向かう過程を治療不可能な病気や臓器機能不全等の終末としてみるのではなく、むしろ人生の完結期ととらえて、死が予想されたときから死の瞬間まで、死を迎える人とその家族にとっての生活の質を出来る限り維持向上させるためのケアをしめす。1990年代後半に、アメリカやカナダでの高齢者医療と緩和ケアを統合する考え方として生まれたもの。日本語訳としては「終末期ケア」とされている。
延命治療
疾病の根治ではなく、延命を目的にした治療のことです。特に生命の危機にあり、根治の見込めない患者に対して行なわれる治療のことをいいます。治療の内容は、人工呼吸、人工栄養(静脈栄養、胃ろう、中心静脈栄養など)、人工透析、輸液・輸血、薬剤の投与などです。
嚥下(えんげ)障害
嚥下(えんげ)障害とは、脳血管疾患やパーキンソン病、ALS、認知症などの症状や加齢とともに起こる機能減退などによって、飲み込むことが難しくなる状態のことをいいます。また一時的な経管栄養による廃用性症候群、抗うつ剤などの薬の副作用により嚥下障害を起こすこともあります。嚥下障害は、誤嚥性肺炎の原因になります。
ADL(エー・ディー・エル)
日常生活行為のことで、ADL(エイ・ディー・エル)は、,英語の  active of daily life の略です。日常生活を自分でどれだけできるかという概念で、具体的には食事、整容、移動、排泄、更衣、入浴、意思の伝達など身辺の用事を自分でどれだけできるかということを基本的ADLといいます。これを介護のために、自立、介助、不能などの段階で評価します。
ALS(エー・エル・エス)
筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)という原因がはっきりしていない難病で、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される病気です。ALSは、英語の amyotrophic lateral sclerosis の略です。ALSが発症すると随意筋(手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉)を動かすことが次第にできなくなります。進行を遅らせる薬はありますが、治療法は確率されておらず、人工呼吸器による延命を行なわない限り、通常発症後半数の人が3年〜5年で呼吸ができなくなります。
AED(エイ・イー・ディー)
AEDは、英語の Automated External Defibrillator の略で、日本語訳は、自動体外式除細動器(じどうたいがいしきじょさいどうき)となっています。突然、心停止(心室細動)が起こったときに、心臓の動きを再び取り戻すために電気ショックを与える救命のための医療機器です。心停止が起こってから、救急車が到着する前に、一般市民でも使用できるよう設計されています。使用することにより救命率が数倍に高まるといわれています。
MRSA(エム・アール・エス・エー)
発症した場合に、通常細菌を退治するために使われる薬が効かなくなる細菌の一種です。健康な人には害のない程度の細菌で,身の回りのどこにでもいる菌でが、病院内など、抵抗力の弱った人が集まる場所で感染することが多いため、「院内感染菌」として話題になります。MRSAは、英語の Methicillin-resistant Staphylococcus Aureusの略で、日本語ではメチシリン耐性黄色(おうしょく)ブドウ球菌といいます。現代の医療で抗生剤を使い過ぎたことによって出現した細菌です。
往診
医師が患者の家に出向いて診察することです。患者や家族の要請に応じて、急性疾患などを診察します。定期的、計画的に行なう訪問診療(24時間365日の連絡体制の下で実施)とは区別されます。

か行

介護保険制度
加齢に伴い、介護を要する状態になって、入浴・排泄・食事等の介護、機能訓練、看護・療養上の管理等のサービスを提供することを国民が共同連帯して支える「社会保険制度」です。介護保険制度は、40歳以上の人が支払う「保険料」と「税金」とで運営されています。運営は市区町村等が行い、これを都道府県と国がサポートします。65歳以上となり、サービスが必要と感じた場合は、市町村等に申請し、要支援や要介護の認定を受けると利用料金を原則1割負担することでサービスを受けることができます。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護や支援を必要としている要介護者や要支援者に対して、人人や家族の要望に従って適切なサービスのプランを作成し、そのプランを利用できるように、各サービス事業者や市町村などと連絡調整を行なう有資格者のことです。通称、ケアマネージャーと呼ばれています。
介護福祉士
専門的な知識と技術を持って介護を行なう者のことで、社会福祉士及び介護福祉士法に規定される国家資格です。福祉系大学や専門学校にて終了と同時に国家試験を受けずに取得する場合と、3年以上の介護実務を経て試験に合格して取得する場合等に分かれています。
介護予防サービス
介護保険サービスの種類のひとつで、要支援1、要支援2と認定された要支援者が要介護状態になることを予防したり、できるたけ日常生活が自立して遅れるようにするためのサービスです。自宅への訪問介護サービス、訪問入浴介護サービス、福祉用具貸与サービス、また出かけていく通所介護サービス(通称、デイサービス)などがあります。
介護保険での支給限度額
介護保険では、要介護度に応じてサービスの利用に対する給付額の上限(支給限度額)が定められています。介護度に応じた上限は、要支援1で49,700円、要支援2で104,000円、要介護1で165,800円、要介護2で194,800円、要介護3で267,500円、要介護4で306,000円、要介護5で358,300円となっています。利用者の自己負担は、利用したサービス利用料の原則1割となります。
介護保険住宅改修費
要介護者等のために必要な手すりなどの住宅改修を行なった場合、事前に申請して認定を受ければ、支払い金額の9割相当額を介護保険にて払い戻し(償還払い)されます。必要な書類(住宅改修が必要な理由書等)を添えて、申請書を提出し、工事完成後、領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を提出します。払い戻し額は、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となります。
介護老人保険施設
介護保険の適応を受けている介護サービス施設の一種。医師の医学的な管理の下で、食事・入浴・排泄などの生活サービスに加えて、リハビリテーションを中心にしたサービスを実施する施設。本来、医療機関から在宅に復帰するために一時的に入所する機関と位置づけられており、3ヶ月を入居期間の基本とします。しかし現実的には、在宅復帰のためだけではなく、自宅からの一時的な入居をくりかえしたり、特別養護老人ホームへの入居待ちで利用することも増えている。
介護療養型医療施設
外見上は病院とほとんど変わりませんが、長期的に入院する併設された療養施設(通称、療養病床)。急性期の治療が終了して病状が安定しているが、長期的に治療が必要な場合に、入院を続けることができます。しかし厚生労働省は、医療費の高騰などを問題にして、2018年3月までに廃止することが決定しています。
かかりつけ医
本来の意味は、日常的に診察を受けている医師のことです。内科、歯科にかぎらず、耳鼻科、眼科、たとえば循環器科など専門医でも同じで、いつも診察を受けている医師は、かかりつけ医ということになります。一方、在宅医療のように、全体的に患者を診る専門医、いわいる総合内科医は、家庭医ともいわれるもので、同じく「かかりつけ医」という呼び名が使われています。
片麻痺
左右どちらかの脳の病変による半身不随(はんしんふずい)のことです。病変と反対側の上下肢、顔面、体幹に麻痺が起こります。麻痺側により、右麻痺または左麻痺といいます。
肝硬変
肝硬変は、ひとつの独立した疾患というよりも、長年の炎症(慢性肝炎)により肝細胞の壊死と再生が繰り返され、肝臓が硬く小さくなる病気(肝臓の病気の一種の終末像)です。肝硬変の症状は多彩ですが、黄疸、腹水、脳症、食道静脈瘤、出血傾向、肝がんの発生などで、さらに進行すると、黄疸や脳症が進行した肝不全、静脈瘤などからの消化管出血、肝がんの3つが死因となります。
緩和ケア
生命を脅かす疾患に直面している患者とその家族に対して、その痛み、身体的・社会的問題、精神的な問題に対して正確な評価を行い、痛みを和らげ、問題を予防したり緩和したりすることです。末期の時期に限らず、早い時期から行なうべきだとされています。具体的には、疼痛管理などの医学的な措置に限らず、告知時の精神的ケア、治療方針の選択の情報の提供、患者の意思決定の支援、 臨死期の家族の悲嘆への配慮などがあげられます。
管理栄養士
栄養の専門職で、栄養士法で定められた国家資格です。傷病者に対して療養のために必要な栄養食事指導、食事療法、栄養補給など総合的な栄養管理を行います。
外来診療
外来診療とは、病院や診療所に行って診察を受ける事をいいます。病院や診療所によっては、他の病院や診療所からの「診療情報提供書」を持参する人を優遇したり、あるいは予約者を優先したりする場合もあります。一般的には、突然、外から診察を受けにいくと長時間待つことになります。
居宅サービス
介護保険制度によって在宅で利用できるサービスのことで、全部で12種類あります。利用者が家に訪問してもらうサービスには①訪問介護②訪問入浴介護③訪問看護④訪問リハビリテーション⑤居宅療養管理指導、利用者が施設に通うサービスには⑥通所介護(デイサービス)⑦通所リハビリテーション(デイケア)、短期間滞在するサービスとしては⑧短期入所生活介護(ショートステイ)⑨短期入所療養介護、その他のサービスとして⑩認知症(痴呆)対応型共同生活介護(グループホーム)⑪特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、ケアハウスなど)⑫福祉用具貸与があります。
居宅療養管理指導料
介護保険サービスとして行なわれるもので、たとえば医師または歯科医師は、「通院が困難な利用者に対して、医師又は歯科医師が計画的な医学的管理に基づき、医師等が指定居宅介護支援事業者等に対する情報提供、介護方法等についての指導を行った場合に月に1回を限度として算定されます。その他、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士等が算定します。
狭心症
狭心症とは、発作的に胸の痛みや圧迫感などの症状を起こす病気です。胸の痛みは、血管内腔が狭くなることにより、心筋に十分な血流・酸素が送り込めない時に起こります。その原因の大多数は動脈硬化(どうみゃくこうか)で、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などに引き続いて起こります。また、完全に冠動脈が閉塞したり、著しく狭窄が起こったりして心筋が壊死してしまった場合には心筋梗塞(しんきんこうそく)といいます。
筋ジストロフィー
筋肉が萎縮し、その機能を失っていく病気を総称して筋ジストロフィーといいます。遺伝性で、徐々に筋力が低下してくる筋肉疾患です。いくつかのタイプに分類されますが、代表的な性染色体劣性遺伝病のデシャンヌ型では、通常2~4歳頃で転びやすいなどの異常が見られ、その後、全身の筋肉の萎縮変性が進行し、歩行不能になり、全面的な介助を必要とする重度身体障害となります。
気管切開管理
気管とその丈夫の皮膚(のどのあたり)を切開して、その穴に管(カニューレ)を挿入して、呼吸に必要な酸素を強制的に入れて窒息を予防する方法です。一種の気道確保の方法ですが、いわば最終的な方法で、心肺蘇生法で行なう、頭を後部にそらす応急処置や「口や鼻からチューブを通して呼吸を確保する「気管挿管(きかんそうかん)」とは、違います。
吸引器
痰などの分泌物や食物が詰まって呼吸が困難になることを防ぐために、口腔内、気管内を掃除機のような仕組みで管を使って吸引・除去する装置のこと。電動式が主流だが手動式もある。痰の吸引は医療行為ですが、平成24年度からは介護職員も一定の研修を受けると医療や看護との連携の下で実施できることになりました。
急性期医療
病状が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態になるまでの医療を意味しますが、一般的には救急医療に限って意味することが多いようです。医療においては14日以内が急性期の目安です。生命の危機に瀕しているような重篤な場合は、ICU(集中治療室)にて治療されます。
QOL(キュー・オー・エル)
生命や生活を物理的な面から量的に捉えるのではなく、質的に捉えようという考え方で、患者が尊厳を保ち、自分の希望に添って生活を送ることができているかどうかを計る尺度でもあります。QOL(キュー・オー・エル)は、英語の quality of life の略です。高度先進医療の目的が救命や疾患の治癒であるならば、在宅医療の目的は症状のコントロールとQOLの維持とでも言えるでしょう。
ギラン・バレー症候群
急性・多発性の根神経炎の一つで、筋肉を動かす運動神経の障害のため、急に手や足に力が入らなくなる病気です。多くの場合、風邪をひいたり下痢をしたりなどの感染の後、1~2週後に症状がはじまります。症状は2~4週以内にピークとなり、その後は改善していきます。症状の程度はさまざまですが、重症の場合には寝たきりになったり、呼吸ができなくなる(この場合には一時的に気管切開や人工呼吸器を要する)こともあります。英語ではGuillain-Barré syndromeと表します。
グループホーム
病気や障害で生活的な困難を抱えている人たちが介護サービスを受けながら少人数単位で生活を共にしながら、地域社会にとけ込んで暮らし続ける施設の形態。認知症高齢者を対象にする施設と知的・精神的障害を持つ成人を対象にする施設の2種類がある。認知症高齢者を対象にする施設は、認知症高齢者グループホームと呼び、介護保険制度の適用を受けています。要支援2から要介護5までの認知症高齢者が最大9人のユニット制で入居する施設となっています。
グリーフケア
大切な人を失った時に訪れる悲しみを和らげて、そこから立ち直ることを支援することを意味します。英語のgreif care(悲嘆回復)のことです。グリーフケアを実践する人を講習し、活動する日本グリーフケア協会もあります。
ケアカンファレンス
ケアカンファレンスは、英語の care conference(ケア会議)のことで、一般的には医療や福祉の現場で、よりよい治療やケアのために関係者が情報の共有や共通理解を図ったり、問題の解決を検討するための様々な会議を意味します。介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者のケアプランを作成する際に、介護サービスを提供する事業者やサービスにかかわる担当者、場合によっては本人や家族、医師などを集めて利用者のサービス内容を検討する「サービス担当者会議」もケアカンファレンスの一種です。
ケアプラン
ケアプランとは、一般的には介護を提供する計画のことですが、介護保険法においては「介護サービス計画」のことを意味し、主に介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成します。在宅の場合は、居宅サービス計画、介護予防サービス計画となり、施設に入居している場合は、施設サービス計画となります。
ケアマネジメント
介護保険制度では介護支援専門員(ケアマネージャー)がその役割を担っていますが、要支援・要介護者に必要な総合的なサービスを適切な医療、介護サービスにつなげていくことを意味します。具体的には、対象者に課題を分析し(アセスメント)、サービス計画を立て(ケアプラン)、サービスを実施する事業者等と調整を行なっていきます。また実際のサービスについて効果を評価し(モニタリング)、計画を修正していきます。このように継続的にマネジメントを行なうことです。
血糖値
血糖値(けっとうち)とは、血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度のことです。ブドウ糖はエネルギー源として利用されているため、血液中のブドウ糖(血糖)は一定の濃度に保たれています。インスリンの分泌量が少なかったり、十分な量が分泌されていても働きが悪いと慢性的な高血糖の状態が続きます。これが糖尿病です。
経管栄養
経口で栄養摂取が難しくなった場合に、口を通さずに、管を使って別の場所から栄養を入れることを言います。鼻腔から胃に管を入れる径鼻胃管法(鼻腔経管)、胃ろう、腸ろう、食道ろうを総称しています。胃が使えない場合以外は、通常は胃ろうが選択されます。
下血
「下血」とは、おしりから血液が排泄されることです。下血は上部消化管だけでなく、それ以下の小腸や大腸など消化管全体からも起こります。出血部位や出血量により黒色便(タール便)と赤い鮮血便に分けられます。食道、胃、十二指腸など上部消化管から出血した場合は「吐血(とけつ)」といいます。ただし、口から血液を吐く病気が全て消化管に由来するわけではなく、消化管出血の他にも肺から出血する場合は「喀血(かっかつ)」といいます。
高額介護サービス費
公的介護保険を利用し、自己負担1割の合計の額が同じ月に一定の上限を超えたとき、申請をすると「高額介護サービス費」として払い戻される制度があります。通常は、老齢福祉年金受給の方や生活保護を受給している人は上限も低く設定されるなど、個人の所得や世帯の所得に対して上限が異なります。この高額介護サービスの対象には、老人ホームなどの居住費や食費、差額ベッド代、生活費、福祉用具の購入費や住宅改修費などは支給対象とはなりません。
後期高齢者
人口統計上の概念で、75歳以上を後期高齢者と定義していています。ちなみに高齢者は65歳以上で、65歳から74歳までを前期高齢者と称しています。2008年から高齢者医療法に基づく後期高齢者医療制度が施行され、人口統計的な意味合いより、医療保険としての社会問題用語として使われる事が一般的になっています。
後期高齢者医療制度
公的な医療保険制度の一種で、75歳になると今まで加入していた国民保険、健康保険から脱退となり、後期高齢者医療制度という独立した制度に組み入れられることになります。医療費の自己負担額は原則1割となりますが、課税所得が145万円以上の場合は一定以上所得者として自己負担額が3割となります。
高額療養費制度
医療保険制度では、自己負担額が著しく高額になることに対する負担軽減を目的にした制度です。自己負担限度額を設けて、これを超えた部分を払い戻してくれます。自己負担限度額は所得に応じた区分ごとに設定されており、たとえば70歳以上の一般の場合、1ヶ月ごとの負担限度額は、外来では個人ごとに1ヶ月で12,000円、入院等の場合では1ヶ月で44,000円となっています。
高額介護サービス費
介護サービスにかかる自己負担には、所得に応じた上限額があります。上限を超えた場合は、高額介護サービス費として払い戻しを受けることができます。限度額は、所得に応じて3段階に区分されており、それぞれ月額で15,000円、24,600円、37,200円となっています。
高額医療合算介護サービス費
平成20年4月から、医療と介護にかかる自己負担をそれぞれ合算した限度額が設けられています。限度額は所得に応じて異なり、年額で設定されます。この限度額を超えた分のうち、介護保険にかかる部分は、「高額医療合算介護サービス費」として払い戻しを受けることができます。
口腔ケア
広義には、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、発音、呼吸などをケアすることを意味しますが、狭義では、口腔内の衛生管理のために行なう口腔清掃を中心としてケアを意味します。狭義の口腔ケアには、歯科衛生士など医療従事者が専門的に行なう場合と日常生活の中で本人や介護者が行なう場合に分かれます。ただ習慣的な歯磨きを手伝ったり、食物の残留物を取り除いて清潔にするというだけではなく、誤嚥性肺炎などの感染症予防や機能回復のための視点が重要です。
高次機能障害
脳血管障害や頭部外傷、低酸素脳症などによって、行動や精神活動、判断や理解などに大きな障害(失語など)が生じている高次な脳機能障害のことです。具体的には記憶があいまいになったり、新しいことが覚えられない記憶障害、周囲の刺激(呼びかけなど)に対して意識を向けることが難しくなる注意障害、論理的に行動できない遂行機能障害、状況に応じた感情や行動をコントロールできない社会的行動障害などが起こります。
拘縮
拘縮(こうしゅく)とは、間接可動域の制限が起こる重要な症状のことです。拘縮は間接を動かさないことによって起こり、たとえば脳梗塞で四肢の麻痺が起こった場合には拘縮が進むことになります。高齢者では寝たきりなど運動が不十分な状態が続くと拘縮が起こるため、自力で運動が難しい場合には、他者がリハビリ等により運動を助ける必要が出てきます。拘縮が進むと、介護を行なう際の大きな障害となります。
骨粗鬆症
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨強度の低下を特徴として骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患のことです。骨強度は、骨密度と骨質が要因となり、骨密度は単位体積(面積)あたりのミネラル量で、骨質は小さな穴がたくさん開いている穴の量などで規定されます。骨粗鬆症は、背中が曲がることに現れる骨の変形、骨性の痛み、さらに骨折の原因となります。予防のためには、適切な運動、体重管理、カルシウム。ビタミンD,Kなどの摂取、過度の喫煙・飲酒を避けることなどが必要です。
コミュニティ・ケア
障害者や要支援・要介護者を特別な施設の中だけで支援するのではなく、在宅ケアを中心として地域住民が協力して支援していくことを意味します。英国で始まった動きですが、1970年ごろから日本でも概念として取り入れられるようになりましたが、まだ充分に機能している状態ではありません。
抗精神病薬
向精神薬としては広義には、中枢神経に作用し精神に影響を与える薬物のことで、医学的に用いられる医薬品だけではなく、タバコやアルコール、麻薬なども含まれますが、ここでは医学的に用いられる抗精神病薬について記すと、意識水準の低下をきたさずに、幻覚妄想や精神運動興奮などの症状に対して効果のある薬のことです。主に統合失調症に用いられる。「精神安定剤」と通常呼ばれますが、副作用により生活の質が落ちることにつながる場合もあり、使用には充分な注意が必要です。
混合診療
公的保険の給付対象サービス・薬剤と、公的保険の給付対象外のものを一連の医療行為として混合して提供することを言います。日本の医療制度では、保険診療において保険外診療(自由診療)を併用して行なうことを原則として認めていません。混合診療を行なった場合は、保険給付対象サービスも含めて全額が自費扱いとなります。なお歯科のいおいては伝統的に混合診療が認められています。
抗生物質
抗生物質とは、「微生物によってつくられ、微生物の発育を阻止する化学物質」、英語のantibioticに抗生物質という言葉が語源ですが、感染症に対する多くの「抗生物質」は細菌に対する「抗菌薬」がほとんどであり、一般的に抗菌薬と同義になっています。広義には抗ウイルス剤や抗真菌剤、抗がん剤も含んで使われています。
誤嚥
誤嚥(ごえん)とは、経口からの食物や液体が誤って気管や肺に入ることで、気道の声帯より下へ入った場合をいいます。口腔や咽頭内の細菌を誤嚥することにより、誤嚥性肺炎を起こします。誤嚥性肺炎は高齢者にとっては死に繋がりかねないため、日頃の口腔ケアなどの予防が重要です。なお、誤飲とは、食物や液体以外のもの、たとえば義歯や消毒液などを飲み込んでしまった場合をいいます。

さ行

作業療法士(OT)
医師の指導のもとに作業療法を行なう、国家資格を有する専門職です。 英語のOccupational Theraphistを略してOT(オーティー)とも呼ばれる。理学療法士(PT)のリハビリでひとまず身体が動くようになった患者に対し、手工芸(折り紙等)や芸術(音楽、塗り絵等)、遊び(トランプ等)やスポーツ(散歩、体操等)等の「創作活動やレクリエーション」、日常動作(食事、料理、掃除、読書等)である「生活活動」等の行為(作業)を通し日常生活をスムーズに送るためリハビリテーションを行う。
サービス付高齢者住宅
国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者住まい法」改正に伴って平成23年から登録が始まった、高齢者向けの賃貸住宅のことです。設備的には、部屋数10以上、各部屋の床面積が原則25㎡以上、台所・水洗便所・洗面設備・浴室などを有すること、バリアフリー構造であることなどの条件があり、サービス面では少なくとも情報把握(安否確認)サービス、生活相談サービスを提供することなどがあります。
在宅療養支援診療所
地方厚生局に届け出て、かつ認可を受ける施設基準で、いわいる在宅医療を実施している診療所のこと。①24時間体制で往診が可能②24時間体制で訪問看護と連携可能③緊急時に入院できる病院を確保しているーなどの要件を満たすと認可され、医療診療報酬が加算される。在宅療養支援診療所は、在宅医療を受けるときに選ぶための大きな目安だが、絶対的な条件ではない。在宅療養支援診療所の認可を受けずに、手厚い往診をしている診療所も数少ないながら存在する。
在宅療養支援病院
地域において在宅療養支援診療所(訪問診療を行なう診療所)がない場合(病院から半径4キロ以内)に、代わって在宅療養医療を支援する病院。病床数200床以下の条件がある。24時間の連絡受付、往診、訪問看護などの体制を持ち、また緊急時に在宅患者を病院で受け入れるための病床確保も求められている。全国に400カ所弱あります。
在宅医療
住み慣れた地域で安心して生きていくための地域医療システム。広義では、地域で医療を必要としている人と家族を支援する医療のことであり、狭義では居宅で医療(訪問診療)を行うことをいいます。
在宅医
在宅医は、訪問診療を行う医師です。地域においてケアが必要な患者と家族に対して継続的に支援し、患者と家族の価値観、生き方、生活の質を中心に考えた総合的な医療を行なうために、目標を共有する在宅支援チームと在宅医療を実践する医師のことです。あるべき在宅医は、在宅医療を望む患者の臨床課題に精通した総合医で、とりわけ生命を脅かす疾患の患者のケアにも習熟した緩和ケア医です。
在宅看護
在宅看護とは、居宅や居住系の施設、通所介護施設など生活の場において、療養を必要とする人とその家族に対して、看護を提供することを意味します。実際には、訪問看護ステーション、病院・診療所に所属する看護師が行います。
在宅ケア
在宅ケアとは、住み慣れた地域で、生涯にわたり、豊かな暮らしができるように支援することです。訪問介護、訪問看護、訪問入浴、通所介護などの公的なサービスがあります。また公的なサービス以外に、家族が行なうこと、地域ボランティアが行なうサービスも大切です。
在宅時医学総合管理料
保険診療の際に医療行為等の対価として計算される保険診療点数のひとつで、在宅診療を行なう場合に算定されます。算定対象は居宅で療養を行っている通院が困難な患者で、厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方社会保険事務局長に届け出た診療所及び許可病床200床未満の病院の主治医が、患者の同意を得て在宅療養計画に基づき月2回以上訪問診療(往診を含む)を継続して行った場合に月1回算定することができます。原則として在宅療養支援診療所の主治医が患者に院外処方せんを交付する場合は4,200点を、それ以外の場合は4,500点を算定します。
在宅人工呼吸器
在宅人工呼吸器とは、呼吸器疾患や神経・筋疾患などにより換気補助が必要な療養者に対し家庭で人工呼吸による補助換気を行う治療装置のことです。在宅在宅人工呼吸器には、液体酸素装置と酸素濃縮装置の二つがあり、主治医と相談しながらライフスタイルにあわせて選択します。
在宅酸素療法(HOT)
在宅酸素療法とは、高濃度の酸素を供給する機器を自宅に備え、必要時あるいは24時間、酸素吸入を行なう治療方法のことです。呼吸器疾患の生命予後の改善、呼吸困難感の緩和などにより生活に質や日常生活動作の改善に役立ちます。英語のHome Oxygen Therapyを略してHOT(ホット)と呼ぶこともあります。
死亡診断
人の死亡を医学的・法律的に証明すること。医師のみが行なうことができる。火葬許可、戸籍抹消、遺産相続権消失、保険請求などのために必要で、死に関する刑事・民事・行政責任の認定にも使われます。在宅医療の場合は、原則として訪問医師が死亡診断書を書きます。24時間以内に最後の診断がないと異状死体として警察に届け慣れればならないとの誤解がありますが、そのようなことはありません。
社会医療法人
社旗医療法人は医療法人の一種で、公益性が高いと認定された法人として認定を受ける。同族支配を制限するなど公益性を担保する条件を満たし、都道府県知事の認定を受けることで、比較的幅広い事業(飲食店、宿泊施設、サービス業など)から得られる収益を、病院などの本来事業へ充てることができる。
社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉業務に携わる国家資格を有する専門職で、身体・精神上の障害がある人や環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、医師やサービ事業者との連絡・調整を行うことを業とする者となっています。
処方せん
処方せんとは、医師、歯科医師等が患者を診察した結果、投与が必要な医薬品とその服用量、投与方法などを記載する、薬剤師に対する書類(処方)のことです。医薬分業の方針にも基づき、原則として患者は処方箋を渡されて、調剤薬局へ提出して薬を購入する方式なっています。なお保険処方せんの有効期限は発行日を含めて4日で、この期間が過ぎると効力を失います。
主治医
患者のある疾患の治療方針について主に責任を持って、その治療をあたる医師のことです。診療の場所によって、外来主治医、入院主治医、病院主治医、在宅主治医などがあり、ひとりの患者に複数の主治医がかかわる場合もあります。病院内では、担当医と呼ぶ場合もあります。外来のかかりつけ医を患者が一般的に主治医と呼ぶ場合もあります。在宅医療の主治医は、特定の疾患についてだけではなく、患者を総合的に支える役割を果たします。
ショートステイ
ショートステイとは、要介護者が施設に期間限定で短期間入所し、日常生活のお世話や機能訓練などを受けることのできる介護サービスです。基本的には、ショートステイ先の介護施設で暮らす入居者と同じ生活をすることになります。
小規模多機能施設
日常生活圏内の小規模な介護拠点で、通いを中心に宿泊、自宅への訪問を組み合わせて利用できる施設のことです。1事業所の利用者数は25人以下と規定されています。日中の通いの利用者は登録人数の2分の1以上、15名まで、宿泊の利用者は通いの利用者の3分の1以内で9名までなどの制限があります。
心不全
心不全とは、心筋の障害(心臓の収縮力の低下)により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器へ血液を充分に送る事ができない状態のことです。その結果、呼吸困難、疲労、食欲不振、意識障害などの障害が起こります。在宅医療においては、慢性的な心不全をコントロールして生活機能を維持することや予後不良の重症な心不全に対しての緩和ケアなどが大切となります。
心筋梗塞
心筋梗塞(しんきんこうそく)は、通常は急性に起こる「急性心筋梗塞」のことです。心臓の周りにある三本の冠動脈が一本が詰まって血液の流量が下がり、心筋が虚血状態なって壊死する状態をいいます。冠動脈が閉塞すると約40分後に壊死が始まります。心臓麻痺・心臓発作(ハートアタック)とも呼ばれています。突然生じた激しい胸痛が15分以上続く場合は、「急性心筋梗塞」の可能性がありますから、直ちに救急車を呼んでください。
終末期ケア
治癒の可能性がなく、死が間近に迫った人に対して、延命を目的にするのではなく、医療的処置によって身体的・精神的苦痛を減らしながら、総合的なケアによって、人生の質を保つ医療的・社会的な支援のことをいいます。現在、欧米ではあまり使われていない言葉で、エンド・オブ・ケア(緩和ケア)がより広義の意味で使われています。
診療情報提供書
診療を担当している医療機関の医師から、その患者の診療内容について伝える書類のことです。医療保険においては、患者に対して診療情報の提供を請求することが認められており、提供先は医師や医療機関に限らず、介護保険施設なども対象となります。
ジェネリック医薬品
後発医薬品ともいいます。先発の医薬品と同様な有効成分を同一の用量含む製剤で、効果も原則的に先発医薬品と同等な医薬品のことです。ただし添加物等に違いがあり、完全に同一の製品ではありません。先発医薬品の特許が切れた後に製造・販売されるため、価格が安いのが特徴となっています。ちなみに欧米では多くの後発医薬品が含有している有効成分の一般名称(generic name)を製品の販売名称にしているためジェネリック医薬品と呼ばれています。
若年性認知症
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭葉側頭型認知症などの認知症において、65歳未満に発症した認知症のことを若年性認知症と呼んでいます。発症が若い故に周囲の理解も小さく、社会的な問題も大きい。
人工呼吸器
数時間から数年という長時間にわたって人工呼吸を自動的に行なうための医療機器のことです。在宅で人工呼吸療法を行なうことを在宅人工呼吸器法といいます。人工呼吸の換気方法は、気管挿管、気管切開、マスクなどがあります。
褥創(じょくそう)
身体の一定部分、たとえば腰などに、圧迫やすれなどで一定以上の圧力が加わり、その部分の血流が妨げられて虚血状態となり、皮膚が損傷する疾患のことです。紫に変色する程度から、悪化すると穴が開いたり、さらに悪化すると骨まで壊死する場合もあります。一般的には「床ずれ」と呼んだりします。
腎不全
腎不全とは、腎臓の機能が低下して正常に働くなった状態です。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。急性腎不全は多量の出血や薬剤などが原因となって急激に腎臓の機能が低下しますが、適切な治療を受ければ、かなりの部分は回復します。慢性腎不全では、慢性の腎臓病が徐々に悪化して腎機能が低下していきます。慢性腎不全を治す有効な治療法はありません。慢性腎不全が進行して末期腎不全に至ると、腎臓の機能が極度に低下し、そのままでは生命を維持できなくなるので人工透析か腎臓移植が必要になります。
ストーマ管理
ストーマとは、手術によっておなかに新しく作られた便や尿の排泄の出口(人工肛門)のことを言います。何か特別な機械を使うのではなく、自分の腸や尿管を直接おなかの外に出して、便や尿管理をします。具体的には、ストーマ用の装具をお腹に貼って、便を受け止めます。ストーマ装具は、皮膚保護材という直接皮膚に貼り付く板(面板)と、便を受け止める袋で構成されています。装具を交換する時期は、一般的に週2~3回になります。装具の交換までは同じ袋を何日か貼っておき、袋に排泄物が貯まったつど今までのようにトイレで出します。
生活習慣病
生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が起因する疾病群のことです。食習慣に関連するものとして2型糖尿病、肥満、脂質異状症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、歯周病、高血圧などがあり、運動習慣に関わるものとして2型糖尿病、肥満、脂質異状症、高血圧症、喫煙に関わるものとして肺がん、慢性気管支炎、循環器病、肺気腫など、飲酒に関わるものとしてアルコール性肝疾患などがあげられます。
成年後見制度
法定後見制度と任意後見制度があり、法定後見制度では認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人に対して、本人の権利の援助者として成年後見人等を家庭裁判所が選んで本人を法律的側面から支援します。任意後見制度では本人が判断能力が不十分になったときのために、予め本人が公証人役場で任意後見人を選定し、契約内容を決めるものです。
セカンドオピニオン
現在診療を受けている医師の判断や治療に対して、現在診療に関わっていない別の医師からの意見を得ることをいいます。別の医師は、現在診療を受けている医師からデータ等の情報提供を得ます。本人が医療に関する自己決定をする上で、複数の医師からの考えを聞いて、より自由に決定することが可能になります。
せん妄
意識混濁に伴って、幻視や錯覚が起こり、精神的に興奮した状態をいいます。夜間に起こることが多く、カテーテルを引き抜くなどの興奮した行為や、明らかな見当識障害の発言が見られたりします。 大手術後の患者(術後せん妄)、アルツハイマー病、脳卒中、代謝障害、アルコール依存症の患者にもみられます。
専門医
専門医は、5年以上の専門的な研修を受けた後、資格審査及び試験に合格して学会などによって認定されます。認定医、専門医、指導医と分けられており、指導医は高度な知識や技量を持ち認定医・専門医を指導する立場にありますが、すべての学科で基準が統一されているわけではありません。
尊厳死
延命を拒否し、自然の摂理に任せての死を選ぶことです。自然死とも呼ばれています。実際に死を迎える段階では意識を失っている可能性が高いため、本人の意識がはっきりしているときに、事前に延命行為の是非に関して宣言(リビング・ウィル)して、尊厳死を望みます。

た行

多発性硬化症
多発性硬化症とは、脳や脊髄、視神経のあちらこちらに病巣ができ、様々な症状が現れる、原因不明の難病で「特定疾患」の1つですです。突然健康な若年成人を主として侵す疾患であり、多くの場合、症状が出る「再発」と、症状が治まる「寛解」を繰り返します。英語では、Multiple(多発する)Sclerosis(硬化)といい、略してMS(エム・エス)と呼ばれることもあります。MSの症状はどこに病変ができるかによって千差万別です。
ターミナルケア
回復の見込みがない状態で、医療的にも積極的な治療を行なっておらず、死が確実に近づいている時期に、本人の苦痛を軽減し、本人も家族も精神的に安らぎをもって死を迎えることができるに支援することを意味します。
大腿骨頸部骨折
足の付け根部分(股関節)の骨折です。股関節は骨盤と下肢をつないでいる関節で、ボール(丸い大腿骨頭)がソケット(骨盤の寛骨臼蓋)にはまったような形をしています。上半身の体重付加がかかるため、ここを骨折すると、激痛に加え座ることや立つことが出来なくなります。手首や肩と同様に、高齢者が転倒した際に骨折しやすい場所です。治療後に活動性が低下したり、寝たきりの原因になり易いためほとんどの人で手術が必要です。
脱水症状
体内の水分量が不足した状態をいいますが、単純に水分が不足している脱水(水分摂取量の不足、発熱など)と塩分の喪失を伴う脱水(下痢、利尿薬の過剰摂取など)があります。水分は大量に飲んでも溜めることはできないので、こまめに飲む事が大切です。
中心静脈栄養(IVH)
中心静脈より行なう高カロリーの輸液のこと。医療機関以外の自宅や施設等で行なう場合は、在宅中心静脈栄養と呼びます。高カロリーの輸液の意味の英語 Intravenous Hyperalimentaionを略して IVH(アイブイエイチ)とも呼ばれていました。中心静脈栄養は、消化管が安全に使えない状態が長く続く場合に用いられます。完全埋め込み型のカテーテルを使用し、全胸部に留置する場合が一般的です。
地域医療連携室
病院内にある「地域医療連携室」は、地域の医療機関の連携(病診連携)の強化、相談業務の充実等を目的としています。地域医療の窓口として、医療・福祉機関(かかりつけ医や施設)と連携して患者の診療がスムーズに行えるようすること、また入院中の患者・家族が安心して、円滑な退院及び療養生活が送れるよう支援すること(①在宅医療に関するご相談②転院・施設入所に関するご相談③社会福祉制度に関するご相談④受診相談)が主な業務となります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、地域において包括支援事業、指定介護予防事業などを実施する地域中核機関とされています。包括支援事業とは、総合的な相談業務、権利擁護、ケアマネジメント業務などがあげれあれます。センターには社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)が担当する地域保険者の人数に応じて配置されています。
地域医療支援病院
地域医療支援病院は、周辺地域の病院、診療所などを後方支援する医療機関です。その条件には、規模が原則として病床数が200床以上、他の医療機関からの紹介患者数の比率が80%以上、あるいは紹介率40%以上かつ逆紹介率60%以上であること、他の医療機関に対して高額な医療機器や病床を提供し共同利用すること、地域の医療従事者の向上のため生涯教育等の研修を実施していること、救急医療を提供する能力を有することなどがあげられています。
調剤
調剤(ちょうざい)とは、医師・歯科医師等から発行された処方箋に基づき、薬剤師が医薬品を交付することをいいます。薬剤師の調剤には、①医薬品の情報収集②医薬品の管理③処方せんの監査④疑義照会(処方せん中に疑わしい点があるときは医師に確認する)⑤医薬品の調整⑥薬袋作成⑦調剤薬監査⑧服薬指導などの業務が含まれています。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、65歳以上の者であって、身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする者であって、居宅において適切な介護を受けることが困難な者を入所させる施設です。通称「特養(とくよう)」とも呼ばれ、(指定)介護老人福祉施設と同義。社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設で、民間事業者が経営する有料老人ホームに比べて低料金な場合が多いですが、誰でもすぐに入居できるわけではありません。
特定施設
特定施設とは、定員が30人以上の有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、適合高齢者専用賃貸住宅で、都道府県から居宅サービスの一つである「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けたものをいいます。
床ずれ
褥瘡(じょくそう)のことです。身体の一定部分、たとえば腰などに、圧迫やすれなどで一定以上の圧力が加わり、その部分の血流が妨げられて虚血状態となり、皮膚が損傷する疾患のことです。紫に変色する程度から、悪化すると穴が開いたり、さらに悪化すると骨まで壊死する場合もあります。
統合失調症
統合失調症とは、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。以前は「精神分裂病」と呼ばれていました。幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚です。誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴です。妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。
疼痛コントロール
疼痛(とうつう)とは痛みを表す言葉で、疼痛コントロールとは、たとえば癌末期の患者の痛みを和らげる処置のことをいいます。痛み治療の目標は、①痛みに妨げられずに夜間は良眠できる②安静時に痛みがない状態③体動時にも痛みがない状態となり、WHO(世界保険機関)では①経口的に②時刻を決めて規則正しく③除痛ラダーにそって効力の順に④患者ごとの個別的な量で⑤その上で細かい配慮をということをコントロールの原則としています。
導尿(どうにょう)
膀胱(ぼうこう)内に溜まった尿を本人が自力で出すことが困難な場合に、尿道から管(カテーテル0を挿入して尿を排出することをいいます。その都度、管を入れて排出することもありますし、尿道留意カテーテル(バルーン付カテーテル)を使用して、長期間留置する場合もあります。

な行

認知症
意識障害がなく普通に過ごしていた人が記憶障害を中心として実行機能障害や見当識障害を起こし、日常生活に支障が出る状態のことをいいます。先天的な知的障害や認知障害のことでは、ありません。認知症の代表的疾患には、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体病、前頭葉側頭葉型認知症などがあります。
尿路感染症
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)とは、腎臓から尿管、膀胱を通って尿道口にいたる、尿が通る経路におこる感染症の総称です。男性よりも女性の患者様が多い病気です。尿路感染症のほとんどが、腸内細菌属(大腸菌、腸球菌、・・etc.)によって引き起こされます。細菌が外尿道口から逆行性に入り込んで発症する入り込む誘因として、尿意の我慢や、水分摂取が極度に少ないなどがあります。高齢者の尿路感染症は若年成人と比べて頻度が高く,重症化しやすいものです。
尿道留置カテーテル
尿を尿道に挿入した管(カテーテル)を通して排出するための尿道カテーテルの一種で、膀胱にカテーテルを留置するために先端部にバルーンが付いたもののことです。バルーンカテーテルと言うことが多いです。
脳血管性認知症
脳血管性認知症(のうけっかんせいにんちしよう)とは、脳梗塞、脳出血など脳の血管に異常が起きた結果に起こる認知症のことです。この原因として最も多いのは、小さい脳梗塞が多発する「多発性ラクナ梗塞」です。脳血管障害の発作に伴って発症するため、発作が繰り返されるたびに病状が段階的に悪化していきます。障害の部位によって症状が異なるため、めまいや痺れ、言語障害、知的能力の低下などにはムラがあり、記憶力が低下している一方で理解力や判断力、人格はしっかりと保たれているといった「まだら認知症」がみられるのも特徴的な認知症です。
脳梗塞
脳梗塞(のうそうそく)とは、脳の血管が詰まったり、血のめぐりが低下し、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥る状態がある程度の時間続いた結果、その部位の脳組織が壊死(えし)してしまった病態をいいます。脳や頸部けいぶの比較的太い血管の動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞、心臓のなかに血栓ができて、それが脳に流れてきて詰まる心原性脳塞栓症、主に加齢や高血圧などが原因で、脳の深部に細い血管が詰まり、小さな脳梗塞できるラクナ梗塞があります。
ノロウイルス
ノロウイルスとは、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一属で、カキなどの貝類の摂食による食中毒のほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、それらが乾燥したものから出る塵を介して経口感染します。乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる非常に厄介なウイルスで、そのため、感染力があり、しばしば集団感染を引き起こします。

は行

徘徊(はいかい)
認知症に見られる症状で、一見、無目的に歩き回ることです。自宅や施設の外へ出た場合は、迷子になることも多いです。
廃用症候群
長期間の寝たきりが原因となって、心身の機能が低下していく状態をいいます。間接拘縮(こうしゅく)、筋萎縮、骨粗鬆症、認知機能の低下、心肺機能の低下などが起こります。
敗血症
敗血症(はいけつしょう)は、病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群のことで、細菌感染症が全身に波及したもので、無治療ではショック、播種性血管内凝固症候群(出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こる症候群)、多臓器不全などから早晩死に至る非常に重篤な状態のことです。
肺炎
肺炎とは、主に細菌やウイルスが肺に感染して炎症を起こす病気です。がん、心臓病、脳卒中に続いて、日本人の死亡原因の第4位。高齢者や慢性の病気を持っている方などは、とくに肺炎にかかりやすく、治りにくい傾向があるので、予防や早めの治療が重要となります。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぎます。ただし、すべての肺炎の予防になるわけではありません。肺炎球菌は、肺炎などの病気の原因になる細菌で、在宅の高齢者の肺炎の原因として最も多く、重症肺炎の約半数が肺炎球菌によるというデータもあります。肺炎球菌は、多くの健康な人の鼻やのど・気道に常在菌として存在しており、そのまま何も起こさずに消滅してしまうことも多いのですが、高齢者、免疫機能が弱い人等では重症の感染症を起こす場合があります。
パーキンソン病
パーキンソン病とは、脳の異常が原因で、ふるえ、動作緩慢、小刻み歩行などを主な症状とする進行性の病気です。治療方法が確立されていない難病で、特定疾患に指定されています。進行すると、自分一人では日常生活を送れなくなり、悪化するといわゆる「寝たきり」になります。なお本疾患と似た症状を来たすものを、原因(薬剤、血管性障害、脳疾患など)、を問わず総称してパーキンソン症候群と呼び、「パーキンソン症候群」の原因はパーキンソン病とは限りません。
パルスオキシメーター
ブローブ(計測端子)を指先や耳にはさみ、ブローブから光を当てることで動脈血の脈拍数と酸素飽和度をモニターする医療機器です。パルスオキシメーターで測定する酸素飽和度は、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)といい%で表されます。正常値は95〜100%であり、本人の平常値から3〜5%低下していると何らかの異常が発生していると考えます。測定値が89%以下では呼吸不全や心不全と考えられ、緊急対応が必要となります。
日和見感染症
日和見感染(ひよりみかんせん)とは、健康な人では感染症を起こさないような病原体(弱毒微生物・非病原微生物・平素無害菌などと呼ばれる)が原因で発症する感染症の総称です。病院に入院している、各種基礎疾患を有する、臓器移植などで免疫抑制剤を使用している等で抵抗力が減少した場合に起こります。日和見感染症は、免疫能が正常である患者に生じる感染症とは異なり、難治性で、しばしば重症化して致死的である場合もあり注意を要する病気です。
ピック病
認知症の一種で、前頭葉側頭葉型認知症のことです。大きな特徴として、人格の急変があり、物事に無頼で無頓着になります。同じ道を繰り返し通るなど常に同じ行動を繰り返すことも特徴的です。アルツハイマー型認知症等とは異なり、初期状態では記憶低下など生活上の障害は軽く、また症状が進んでも動作についての記憶は保たれ、見当識障害もほとんど見られません。
プライマリー・ケア
プライマリー・ケアとは、患者の抱える健康問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを患者と築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療することで、総合性があり、受診のしやすさを持っているケア(医療ケア)のことです。在宅医療においては、総合内科医(家庭医、総合医)がこれにあたります。
ペイン・コントロール
疼痛コントロールと同義。患者の痛みを和らげる(管理する)処置のことをいいます。痛み治療の目標は、①痛みに妨げられずに夜間は良眠できる②安静時に痛みがない状態③体動時にも痛みがない状態となり、WHO(世界保険機関)では①経口的に②時刻を決めて規則正しく③除痛ラダーにそって効力の順に④患者ごとの個別的な量で⑤その上で細かい配慮をということをコントロールの原則としています。
訪問診療
訪問診療とは、通院が困難な患者に対して、継続的、定期的に在宅に訪問して診療することです。それに対して「往診」とは、患者の要請に応じて緊急に在宅に訪問して診療することです。
訪問看護
在宅医療の一種で、看護師などが居宅で療養上の世話または必要な診療補助を行なうことをいいます。訪問看護ステーションや病院・診療所の看護師などが主治医と連携して看護します。介護保険制度で訪問看護を提供する場合は、主治医の指示書、介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成するケアプランに基づいて訪問看護師などが居宅を訪問します。医療保険制度では主治医の指示書に基づいて訪問看護を行います。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションとは、訪問看護を行なう事業者が都道府県知事の指定を受けて開設する指定訪問看護事業所のことです。介護保険法の指定を受けるためには、一定数の看護師、管理者を配置したり、運営に必要な広さや設備(訪問車両など)を準備しなけらばなりません。
訪問介護
訪問介護とは、要介護者に対して、介護福祉士などが居宅(有料老人ホーム、サービス付高齢者住宅などを含む)に訪問して、①入浴、排泄、食事などの介護、②調理、洗濯、掃除などの家事、③生活などに関する相談・助言、その他の必要な日常生活上の世話をするものです日常生活上の介護を行なうサービスのことを言います。
訪問入浴介護
訪問入浴介護とは、入浴が困難な在宅の要介護者の自宅へ浴槽を積んだ入浴車などで訪問し、入浴を介助するサービスのことです。1回ごとのサービスは、原則的に看護職員1人と介護職員2人で担当します。ただし、利用者の身体の状況から支障がない場合は、主治医の意見を確認したうえで、介護職員3人で行なうこともあります。
訪問リハビリテーション
医師の指導に基づいて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が患者の在宅へ訪問し、生活機能の維持・向上や社会参加の推進を目的にして実施するリハビリテーションのことです。通常1対1でのリハビリテーションとなります。
訪問歯科診療
訪問歯科診療とは、歯科医院に通院することが困難な要介護者の自宅(病院・施設を含む)へ歯科医師・歯科衛生士が直接訪問し、歯科診療をすることです。保険診療が適用される診療可能地域は、在宅が歯科医院から半径16km以内にあることが条件です。
訪問薬剤指導
訪問薬剤指導とは、薬剤師が薬学的な管理指導計画を作成して、通院が困難な在宅患者を訪問し、医薬品や衛生材料・医学材料など適正に供給し、医薬品の服薬状況・保管状況を確認し、また医薬品などの使用方法を説明するなどの管理指導を患者または家族に行なうことを意味します。
ホスピス
ラテン語で「旅人や病人の休息所」(Hospitium)が語源で、本来は死にゆく人とその家族に対する全人的ケアを行なうことの理念を表す言葉だが、現在では終末期の患者が緩和ケアを受けることをさす。緩和ケアと同義。在宅で行なう場合は在宅ホスピスと呼ぶ場合もある。広い意味では、ホスピスを行なう施設や場所を「ホスピス」と呼ぶこともある。
ホスピス・ケア
ホスピスの理念に基づいて実施される全人的ケアのことです。ホスピス・ケアは医師を中心としたチームによって、最後まで患者の人間的な尊厳を守ること、身体的な苦痛だけではなく、精神的・霊的な苦痛を可能な限り取り除くこと、残された時間を最大限に生きることを支えること、家族を支援することなどが求められています。

ま行

末期癌患者
回復の可能性、治る見込みがなく、死が迫っている期間にいる癌患者のことです。末期は、ターミナルと同義。一般的に癌の末期は、予後6ヶ月から1ヶ月がターミナル前期、予後一ヶ月以内がターミナル後期といわれていますが、高齢者においては予後(余命)を予測することは困難でもあります。終末ばかりを意識するのではなく、適切な緩和ケアを行なうことが大切です。
慢性腎不全
腎臓の慢性の病気のために腎臓の機能が低下し、機能が正常時の30%以下程度に落ちた状態を慢性腎不全といいます。慢性腎不全は何年もかかって腎臓の機能が低下して行くので、腎臓が障害される程度によって症状の出方、治療法も異なります。腎臓機能が10%以下に低下して末期腎不全になると、尿がほとんど出なくなるので尿毒症が起き、各種の重大な症状を起こして命に関わります。延命のためには、透析か腎臓移植が必要になります。
慢性呼吸不全
呼吸不全とは、呼吸機能障害のために、充分な酸素が肺に送ることができない状態をいいます。慢性呼吸不全とは、呼吸不全が1ヶ月以上続くことです。慢性呼吸不全の大半を占める慢性閉塞性肺疾患の治療を例にすると、原因になる喫煙をやめるために禁煙教育を行います。薬剤による治療は気管支拡張薬、吸入ステロイド薬、経口ステロイド薬などがあります。低酸素血症の患者に対しては、自宅で酸素の投与を行う在宅酸素療法を行います。ただ酸素の投与だけではなく、リハビリテーションを組み合わせることも重要といわれています。
看取り
本来は、看病することを「看取り」というのですが、現在では「死を看取る」ことを看取りと言っています。死を目前にしながら生きている人は、物理的な痛みだけではなく、全人的な痛みを持っています。この全人的な痛みに対して、医者だけではなく、看護師、介護者などがチームとして、本人だけではなく家族も含めて、出来る限り支援することです。
無菌製剤処理
無菌製剤処理とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネットの無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいいます。2種以上の注射薬を無菌的に混合して、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤(悪性腫瘍の増殖を抑えることを目的とした薬剤)を製剤します。
メタボリックシンドローム
内蔵脂肪症候群のことで、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。Metabolic syndromeは、英語で代謝症候群の意味。心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性の疾患にかかりやすい状態です。食べ過ぎや運動不足など、悪い生活習慣の積み重ねが原因となって起こるため、生活習慣の改善によって、予防・改善することができます。
モニター測定(血圧・心拍)
モニター測定とは、患者の呼吸・代謝状態等を監視する装置によって測定することです。 病院内では、単に「モニター」と呼ばれることが多いようです。 心電図・心拍数、血圧、体温といったバイタルサインを長時間にわたってモニタリングし、患者の状態が異常になったときにはアラームで知らせます。最近では、パルスオキシメーターが組み込まれている装置が多くなっています。
モルヒネ
芥子(ケシ)の実から生産される麻薬、アヘンから抽出された有機化合部(アルカロイド)で、最強の鎮痛剤です。。がんの痛みを緩和するために使われる医療用麻薬です。がんによる激しい痛みを緩和することは、がん患者の生活の質を維持するため重要で、モルヒネと同様の作用を持つ鎮痛剤として、オキシコドン(商品名オキシコンチン)、フェンタニル、トラマドール、メサドンなど様々なものがあります。

や行

薬剤師
薬剤師の任務は、薬剤師法という法律で「調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と規定されています。薬剤師は、国家資格です。保険薬局および病院・診療所薬剤師は、医師または歯科医師の指示により医療保険あるいは介護保険の適応で、患者を訪問して薬剤を届け、薬剤管理指導を行います。
薬剤管理指導
薬剤師が在宅等の患者に薬剤管理指導を行なうことです。「薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導(処方された薬剤の投与量、投与方法、投与速度、相互作用、重複投薬、配合変化、配合禁忌等に関する確認並びに患者の状態を適宜確認することによる効果、副作用等に関する状況把握を含む)を行った場合」と規定されています。在宅では1回325円で、月4回が限度となっています。
ユニバーサルデザイン
すべての人に対して、その年齢や能力の違いに関わらず、大きな改造をすることなく、特殊なものでもなく、可能な限り最大限使いやすいデザインのことです。ユニバーサルデザインの7原則とは、①どんな人でも公平に使えること②使う上での柔軟性がある③ 使い方が簡単で自明④必要な情報がすぐに分かる⑤うっかりミスを許容できる⑥身体への過度な負担を必要としない⑦アクセスや利用のための十分な大きさと空間が確保されている となっています。
有床診療所
有床(ゆうしょう)診療所とは、入院病床を持つ医療機関で、かつベッド数が19床以下の診療所のことです。施設名は「病院」ではなく、医院やクリニックなどが使われています。20床以上になると病院になり、人員や設備基準などの開設基準が有床診療所に比べて厳しくなります。一人の医師が自宅に隣接して開設する場合が多く、入院可能な身近にある診療所として地域医療を支えています。
有料老人ホーム
老人福祉法により規定された高齢者向けの居住施設で、原則として65歳以上の「老人」を入居させて生活サービスを提供します。有料老人ホームには、介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護又は地域密着型特定施設入居者生活介護)、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3種があります。ただし老人福祉施設(老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターなどは、有料老人ホームとは言いません。
要介護度
介護保険制度では、日常生活において介護を必要とする状態を意味する要介護認定と、日常生活に見守りや支援を必要とする状態を意味する要支援認定の2種類の認定が別々に規定されています。認定申請を市町村に対しておこない、その介護の度合に応じて、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の7段階に分かれています。
要介護・要支援認定
介護保険の給付を受けるために、市町村に認定を受けます。そのことを要介護・要支援認定といいます。認定結果は、非該当(自立している)、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5に分かれています。

ら行

リハビリテーション
リハビリテーションとは、障害者の身体的、精神的、社会的な能力を最大限に全人的に回復させることです。一般的にリハビリという場合は、骨折などの回復段階における、身体機能回復のための作業療法や理学療法による医学的リハビリテーションを言う場合が多いのですが、実際は教育的リハビリテーション、職業的リハビリテーション、社会的リハビリテーションの分野も存在します。
リビング・ウィル
リビング・ウィルは、英語のLiving will(生きている間、生前の意思)という意味です。一定の判断力のあるときに、将来、末期状態になって判断能力がなくなる場合に備えて、過剰な延命措置をして欲しくないことを事前に一定の文章に託しておく行為をいいます。人工的に延命されつつ最後を迎えることに対して、自己の生をどう生きるかという自己決定を家族に残しておきます。
理学療法士
理学療法士は、通称PT(ピー・ティー、英語のPhysical Therapistの略)とも呼ばれますが、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、視能訓練士(ORT)と共に、リハビリテーション専門職の一つです。理学療法士は、座る・立つなどの基本動作ができるように身体の基本的な機能回復をサポートします。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を専門に行うことから、「動作の専門家」とも呼ばれています。
理学療法
理学療法とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気療法、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいうと定義されています。対してリハビリテーション(通称リハビリ)は、もっと広範囲な意味に使われており、日常生活にもどす、社会的な復帰などもリハビリと呼んだりします。
レスパイト・ケア
要介護者と介護者を時間的・空間的に分離することを意味します。 レスパイト・ケアは、英語のrespite(一休み、息抜き) careで、介護者の肉体的・精神的な疲労を一時的に緩和する役割を果たします。具体的には、通所介護(デイサービス)やショート・ステイがその目的で利用されます。
レビー小型認知症
レビー小体型認知症は、注意や覚醒レベルの顕著な変動、繰り返される幻視(とくに人物幻視)、パーキンソニズム(手足の安静時の震え、歩行障害、筋固縮など)などの症状が特徴的な認知症の一種です。この病気は、1976年以降に日本の精神科医、小坂憲司博士の臨床例によって世界的に知られるようになりました。初期段階では診断が難しく、アルツハイマー病やパーキンソン病、うつ病などと診断されたりします。病状の進行に伴い、認知機能とパーキンソニズムが進し、最終的には寝たきりになります。
老人保健施設
正式には介護老人保健施設(かいごろうじんほけんしせつ)といい、介護保険が適用される介護サービスで、在宅への復帰を目標に心身の機能回復訓練をする施設のことです。通称で、老健または老人保健施設と表現されています。介護老人保健施設は、リハビリスタッフや看護師、医師等の配置基準が介護老人福祉施設より多く、介護報酬は高く設定されています。できる限り在宅復帰を目標にしているため、入所期間は介護老人福祉施設と違い無期限ではなく、3か月毎に退所か入所継続の判定が行われますが、現状では介護老人福祉施設の入所待機所として利用している入所者もいます。
老人性うつ病
老人性うつ病とは、高齢者になって発症する「うつ病」の総称です。老人性うつ病には若年期や壮年期と追って、さらに、いくつかの特徴があります。まず一見、軽症のようにみえますが、発症すると症状は長引き、しかも一度治っても再発しやすいこと、老人性うつ病では若い世代の発症とは異なり、遺伝的、内因的な要素の影響は少ないことなどがあげられます。かわりに老化に伴う脳機能の低下や、生活の変化など環境的な要因によるもの、身体的な疾患が原因で始まるものが多くなっています。
老人性肺炎
老人性肺炎は、今でも老人において最大の死因で、その死亡率は30年前とほとんど変わっていないという重要な疾患です。抵抗力の弱い老人に起こる細菌性肺炎で、必ずしも高熱が出るとは限らず、呼吸困難がそれほどでなくても重篤な場合があります。若い人の肺炎とは異なり、特に脳血管性障害を持った高齢者に多く発生します。脳血管性障害があると、嚥下反射あるいは咳反射が正常に働かないようになり、本人が知らず知らずのうちに口腔内の雑菌混じりの唾液を気管に誤嚥(不顕性誤嚥)します。毎日のよう誤嚥を繰り返すことにより、いつか体調の悪いときに肺炎を発症するようになります。

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